スカイポート法律事務所

Skyport Law Office

2026/10/14 07:42

コラム

相続した土地・建物に古い抵当権が残っていたら|抹消の方法と、訴訟が必要になる場合

相続した土地や建物の登記簿を取り寄せたら、何十年も前の抵当権が残っていた。抵当権者の名前にも心当たりがない。そうしたご相談をいただくことがあります。

借入れを返し終えていても、抵当権の登記は自然には消えません。登記が残ったままだと、買主や金融機関がためらい、売却や借入れの話が進みにくくなります。

抵当権の登記を消すには

抵当権の抹消登記は、原則として、土地・建物の所有者と抵当権者が共同で申請します。古い抵当権で困るのは、この共同で申請する相手がいないときです。抵当権者が亡くなっていて相続人が分からない、会社がすでに解散している、といった場合です。

訴訟をしなくても抹消できる場合

抵当権者の所在が分からず、借入れの返済期限から20年以上たっている場合は、元本と利息・遅延損害金の全額を供託すれば、相手の協力なしに抹消登記を申請できます。ただ、返済期限から長い年月がたっていると遅延損害金がふくらみ、供託する額が大きくなることがあります。

また、令和5年4月からは、抵当権者である会社が解散し、定められた方法で調べても清算人の所在が分からず、返済期限と解散からそれぞれ30年以上たっている場合にも、相手の協力なしに抹消登記を申請できるようになりました。

このほか、借入れの証書と、返済を終えたことを示す領収書などがそろっている場合や、裁判所の公示催告の手続を使う方法もあります。どの方法が使えるかは、登記簿の記載や抵当権者の状況によって変わります。

訴訟で抹消を求める場合

供託する額が用意できない。抵当権者の相続人は分かっているが、協力が得られない。上の方法が使えない。こうした場合は、抵当権者(またはその相続人)を相手に、抹消登記手続を求める訴訟を検討します。抹消登記手続を命じる判決が確定すれば、その判決に基づいて、相手の協力なしに抹消登記を申請できます。

調べても相手の住所が分からないときは、公示送達という方法を裁判所に申し立てて、訴訟を進めます。抵当権者である会社が解散していて、会社を代表して訴訟に応じる人がいないときは、裁判所に特別代理人の選任を申し立てます。特別代理人には通常は弁護士が選ばれ、その報酬(5万円から10万円程度が目安です)は申し立てた側が負担します。

公示送達や特別代理人の手続で進める場合も、請求がそのまま認められるわけではありません。借入れを返し終えたことや、時効で消えたことなど、抵当権が消えるべき理由を、こちらから主張し、資料で裏付ける必要があります。何を示せばよいかは、抵当権か根抵当権か、誰がいつ設定したかなどによって変わります。

判決が確定した後の登記は、司法書士の先生と連携して進めます。

古い抵当権の抹消でお困りの方へ

登記簿に古い抵当権が残っていて、どこから手をつければよいか分からない。司法書士の先生から、抹消には訴訟が必要と言われた。そのような場合は、当事務所にご相談ください。司法書士の先生からのご紹介もお受けしています。

スカイポート法律事務所
弁護士 平田 佳広(神奈川県弁護士会)

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